おおいた包括ケアネット「ファイン」終活・シニアライフに関する情報が満載。各ジャンルの専門家が動画講座で解りやすく説明します。

大分の情報紙「にほうジャーナル」

  • {TOP

イチオシ情報

「インフルエンザの予防について」 松山医院大分腎臓内科 副院長 有田和弘2015.11.11

インフルエンザ流行の季節が近づいてきました。
インフルエンザにかからないためにはどうすればよいのでしょうか?

予防対策の第一はワクチンの接種です。今シーズンから日本でも四価のインフルエンザワクチンが使われることになりました。「価」とはそのワクチンを使うことで何種類のウイルスに対して免疫を獲得することができるのかを意味します。これまで3価(A型2株+B型1株)であったワクチンが4価(A型2株+B型2株)になります。すなわちB型インフルエンザのワクチンを一種類追加することになり、これによって現在流行するインフルエンザのタイプをほぼ網羅することが可能になります。

インフルエンザワクチンの発症予防効果はその年の流行株に大きく左右されますが、研究班の報告では一回接種で60%前後、二回接種で80%以上の発症予防効果があるとされています。また発病しても高齢者では死亡リスクを80%程度減らすことができ、小児ではインフルエンザ脳症を防ぐことができるとされています。さらに近年はタミフルなどの抗ウイルス薬に耐性を持ったウイルスが出現していますのでこうした状況からもインフルエンザの予防接種を受けることをお勧めします。

また流行期の予防としては、外出時のマスクや帰宅後のうがい、手洗いがある程度有効です。万一インフルエンザにかかった場合は、周りの人にうつさないようにマスクをつけることが重要です。

日頃からの予防としては、他の病気にも当てはまることですが、十分な睡眠やバランスのとれた食事や運動を心掛け免疫力を高めることが大事です。

最後になりますが当院では、風邪や慢性疾患の症状に対し必要に応じて漢方薬を処方しております。風邪に限らず慢性的な症状でお困りの方は気軽に来院されてください。

■有田和弘副院長プロフィール■
大分市出身。広島大学総合科学部から大阪大学大学院医学研究科に進み公衆衛生学で学位(医学博士)を取得。その後、臨床医になるため高知医科大学に再入学。平成8年に医師免許取得後、大分に戻り大分医科大学第二内科に入局。大分医療センター、健康保険南海病院、西別府病院などを経て平成26年1月から松山医院大分腎臓内科(大分市田尻)に勤務。専門は呼吸器内科・感染症。総合内科専門医・内科認定医。日本呼吸器学会会員。

問い合わせ/松山医院大分腎臓内科(電話097-541-1151)
(2015年11月号掲載)

「高血圧のお話その4」 すみ循環器内科クリニック 院長 隅廣邦 2015.11.10

最近気温が下がり、血圧が気になる方が増えているのではないでしょうか? そうした方に今回は高血圧治療の基本中の基本である食塩についてお話したいと思います。

はるか昔、海から陸に上がった生物が生命維持を行うために重要なものの一つに海水―食塩(ナトリウム)を体内に保持する必要がありました。しかし、文明の進化とともに食塩摂取量は石器時代の1日1~2g以下から10g以上へと増えてしまいました。このため、高血圧が増え、それに伴う脳卒中や心臓病、腎臓病などが増加していきました。

そのため日本でも減塩の必要性は叫ばれ、表1のように平均食塩摂取量が10g近くまで下がってきました。さらに日本高血圧学会では食塩摂取量一日6g未満の目標を掲げています。この値はたくさんの高血圧患者さんで減塩の試験をして、確実に血圧が下がった値を参考にして決めたものです。減塩1g/日ごとに収縮期血圧が約1mmHg下がったという成績もあります。本来はもっと少ない値にすべきだというのが専門家の意見で、WHOのガイドラインでは1日5g未満を推奨しています。

では減塩するにはどうすればよいのでしょうか? 私たちは加工食品やレストランでの外食、市販の弁当などの食事をたくさん摂っています。しかし、加工食品の栄養成分表示はNa表示で行われており、これを食塩相当量に換算する必要があり、Na量を約2.5倍すると食塩相当量になります。そうした減塩のための個人の努力は重要です。しかし、もともとは食塩(ナトリウム)を保持するように身体ができており、食塩に対する嗜好も強いわれわれが、食塩にあふれた現在の環境で減塩の努力することはなかなか困難と思われます。こうした身体的特徴や嗜好は幼少期に育まれ、その時期の食塩過剰摂取は生涯にわたり高血圧を助長します。そのためには血圧で悩むご本人だけでなく、子供さん、お孫さんすなわち、次世代の予備軍にもしっかり減塩教育を行う必要があります。
家族皆で、減塩を考えていきましょう。

■隅廣邦院長プロフィール■
大分雄城台高校から熊本大学医学部へ進学。同大卒業後、同大代謝内科へ入局。荒尾市民病院、済生会熊本病院、大分県立病院循環器・内分泌内科(旧第一内科)副部長などを経て、平成15年4月、大分市下郡南1丁目1-6、下郡工業団地東側のJR豊肥線地下道横に循環器科・内科・呼吸器科診療の「すみ循環器内科クリニック」を新規開院。日本内科学会、日本循環器学会、日本心血管インターベンション治療学会、日本ペーシング学会、日本高血圧学会などに所属。
問い合わせ/すみ循環器内科クリニック(電話097-504-7700)
(2015年11月号掲載)

「五十肩について」伊藤整形外科醫院 院長 伊藤龍太郎2015.10.12

いわゆる五十肩というのは、五十歳代を中心としてその前後の年配に多発する肩関節の痛みと運動制限を生じる症候群に与えられた名称です。
江戸時代に編集された「俚言集覧」という俗語辞典に初めて記述があります。
日本には、「肩で風を切る」「肩をならべる」「なで肩」「肩すかし」など、肩に関する特有の表現や言葉は多く、日常よく使われています。

しかし、五十肩は余りにもありふれた疾患ですから、かえって重要視されていなかった面があります。
また、医師が7、80歳代の患者さんに「五十肩」と診断して苦笑いされるということがあります。それだけ肩関節は整形外科医にとってもとっつきにくい、理解しにくい関節であるということかもしれません。

五十肩というのは、50歳代を中心としてよく起こり、肩関節を動かすと痛いという疾患です。
肩関節の老化が表に現れた疾患で、いわゆる「肩こり」ではありません。
また、肩関節の疼痛と可動域制限という二大症状があるにもかかわらず、明らかな原因がない場合が多く、レントゲンやMRIなどの画像診断でも明らかな病態が存在しないという摩訶不思議な病気なのです。

原因は、まだこれだという決定的なものはありません。
しかし、ある年齢をピークに強い痛みと拘縮を生じ、その後治癒することもある疾患といえば五十肩しか見当たりません。
それほど特徴的なものなのです。

この五十肩の症状は、急性、亜急性、慢性の三期に分けられます。
「すぐ治ると思っていた」ながら、痛みがおさまらない、肩があがらない、と訴えて来院される亜急性の患者さんが多いです。
痛みは肩関節だけでなく、首すじ、腕の方にまで放散する場合があり、夜間痛の強い方もいます。
その後、疼痛は徐々に軽くなって行きますが、変わって、肩関節の癒着、拘縮による運動制限が始まります。
髪をとかしたり、衣類の脱着など、腕を背中に回すような動作がしにくくなって行きます。

五十肩の治療は、急性期には、まず肩の運動を制限して安静を保ち、痛みを誘発しないように心がけます。
はれや熱っぽさがあるなら、適時冷やします。
病院では、鎮痛消炎のため局所注射を行ったり、ヒアルロン酸の関節注射を行ったりします。
随時、消炎鎮痛剤や湿布を処方したりします。
痛みが楽になってきたら、今度は肩を保温し、血行をよくして肩を動かしやすくします。
特に夜間の保温は大切です。
また、リハビリも随時行います。

五十肩に対しては、予防すなわち治療です。
全身の健康管理と適当な肩の運動に勝るものはないと思います。
もし五十肩になったとしても、発病後四、五日を過ぎた頃から、たとえ少しずつでも肩を動かしてください。

肩こりと違って、五十肩は本来治るものです。
ちゃんと治療するとちゃんと治ってくれます。
あきらめず、放置せず、ちゃんと治療しましょう。

■伊藤龍太郎院長プロフィール■
東海大学医学部を卒業後、同大脳神経外科に入局。東京女子医大救命救急センター、熊本大医学部整形外科入局。肩関節治療で名高い信原病院(兵庫県たつの市)、板橋中央総合病院、大分整形外科病院、大分医師会立アルメイダ病院整形外科などを経て平成21年6月、大分市毛井279-3、メディカルタウンまつおかに「伊藤整形外科醫院」を開院。専門は関節疾患や外傷、慢性疾患。日本肩関節学会に所属。

(2015年10月号掲載)

「身体に大事な甲状腺ホルモンのお話(3)NHK『ためしてガッテン』にも取り上げられた甲状腺ホルモンの異常!」 大分内分泌糖尿病内科クリニック 院長 但馬大介2015.10.11

今回も甲状腺ホルモンが低下したときにかかる病気を勉強していきましょう。

【お肌に大事なホルモン】
甲状腺ホルモンが少なくなると、浮腫(むくみ)がでます。
これは皮膚にヒアルロン酸などのムコ多糖類が溜まってしまうからです。
ヒアルロン酸と聞くと、お肌に良いと思われるかもしれませんが、病的に皮膚に溜まるので皮膚には良くはありません。
顔や手・脚に溜まり、全体に腫れぼったい感じになります。
さらに喉の声帯に溜まると、声が嗄(か)すれてしまい、高い声を出しにくくなります。

また浮腫みだけでなく、皮膚が乾燥しやすくなり、皮膚の表面も荒れてしまいます。
甲状腺ホルモンが不足することは、お肌に大敵なのです。

【太りやすい体質はホルモンの低下から?!】
食事や運動に気をつけているのに痩せないということはないですか?
または「水でも太る体質」ということはありませんか?
もちろん水だけで太ることはありませんが、「痩せにくい体質」はあります。
運動をせず食事制限だけのダイエットが特によくありません。
食事制限のみでは、脂肪だけでなく筋肉も一緒に落ちてしまいます。
もしその後に過食になったら脂肪が特に増えてしまいます。
悪いことに筋肉量はすぐには戻りにくいのです。
ですからダイエットとリバウンドを繰り返した結果、どんどん脂肪が増えて、筋肉量が減ってしまうことになります。
筋肉はエネルギーを消費するところですから消費が落ちて太りやすくなるのです。

これ以外にも代謝の落ちる病気があります。
それが甲状腺ホルモン低下症です。
甲状腺ホルモンはエネルギー消費に重要なホルモンです。
エネルギーを消費させて体温を維持させたりします。
この甲状腺ホルモンが少ないために太りやすくなっていることがあります。

甲状腺ホルモンの異常は血液検査ですぐに分かりますので、もしこれらの症状に当てはまるものがあれば、かかりつけの内科へご相談ください。
■但馬大介院長プロフィール■
平成4年大分医科大学を卒業後、同大第一内科に入局。平成7年大学院で研究開始。平成13年から15年まで米国オハイオ州シンシナティ大学で医学研究に従事、帰国後、小倉記念病院の糖尿病内科部長、大分市医師会立アルメイダ病院内分泌科部長を経て、平成24年2月、JR大分駅、上野の森口そばの大分市要町9番19号に「大分内分泌糖尿病内科クリニック」を新規開院した。
医学博士。大分大学医学部臨床教授。日本糖尿病学会糖尿病専門医。日本糖尿病協会糖尿病療養指導医。日本内科学会内科認定医。大分県糖尿病療養指導士認定委員会。大分県糖尿病臨床医会登録医。
(2015年10月号掲載)

「足に障害を持たれる方に」 永冨記念病院 副院長 永冨博2015.9.9

足首の関節は、上下に大きく動き、左右にいくらか傾きます。脳溢血やリウマチや腰の病気で運動麻痺(動かすことが出来ない)を起こし、筋肉の麻痺が持続すると、変形や拘縮が起こってきます。足先が垂れ下がり、歩く時につんのめったり、足底を床に平行につけることの出来にくくなった方は一般的には膝下の装具装着となります。

リハビリ訓練をよくすることによって筋肉を鍛えると、時間と共に回復してくる人もいらっしゃいますが、しかし訓練をどんなにしても装具をはずせる状態になれる人は多くはいません。足を気にせずに動けることがベストではありますが、神経は変化する訳ではなく、知覚麻痺(触ってもわからない、あるいはわかりすぎる過敏)はそのままなので、熱さ冷たさ、触った感じ痛みなどは前のままです。

肢体の各所に陳旧性(発病してから長く経って症状が固定した)の変形や、拘縮を有する方たちの、機能を改善するために必要な整形外科的手術があります。手術的治療を行うことにより安定して歩くことも可能となります。通常、入院期間は三週間程度です。

術後は歩行訓練を開始します。その後は定期的にX線を確認しながらリハビリをしていきます。術後に装具が不要となる人も多く、歩行が改善することにより満足する人が多いです。

足に障害のある方は是非一度、当院を受診してみて下さい。

■永冨博副院長プロフィール■
埼玉医科大学を卒業後、大分大学医学部附属病院、大分医療センター、国東広域病院(国東市民病院)、別府リハビリテーションセンターなどを経て、平成25年9月から大分市玉沢78番地(トキハわさだタウン隣接)の永冨記念病院副院長として勤務。日本整形外科学会、日本リハビリテーション学会に所属。現大分県ラグビーフットボール協会医科学委員長。
問い合わせ/永冨記念病院(電話097-548-・7733)

(2015年9月号掲載)

「食道・胃・大腸がんを見逃さない工夫」 ひらた医院 院長 平田孝浩2015.8.9

当院は平成14年7月に開院し13年が経過しました。
また、平成20年8月に内視鏡センターをオープンし、その後順調に検査数は増加傾向にあります。

【食道胃内視鏡検査での工夫】
①当院独自の咽頭麻酔を十分に行う。
②希望者には鎮静のための前投薬を使用しモニターで心電図などの監視を行う。
③独自の方法で食道異変の確認を行う。
④胃内部の洗浄を十分に行う。
⑤ハイビジョンカメラやNBI(色の変化で癌を識別する機械)と色素塗付を併用し発見しやすくする。
⑥毎年検査を受けていただく。

検査中に起こりうる危険に関しては、救急カートや酸素吸入の準備を行う、安全確保を行う、検査後は個室にてプライバシーの確保をしながら十分に休息できる環境を整えるなど、配慮した上で、このような工夫をすることにより多くの早期がんを発見するに至りました。
苦痛なく楽に検査が受けられるため、毎年の検査も抵抗なく受けて頂く事が出来ています。

【大腸内視鏡検査での工夫】
①苦痛の少ない方法で下剤を飲んでいただき、宿便を全て排泄していただく。
②十分な鎮静を行う(モニター監視は十分に行う)。
③腸内空気注入には炭酸ガスを使用し腹痛などの苦痛の軽減を図る。
④NBI装置+色素を塗付して内視鏡を行う。
主な工夫点ですが、安全なおかつ安楽に安心して検査を受けていただくことで、多くの病変を発見し治療を行うことが出来ています。

【最後に】
食道・胃・大腸がんを見逃さないためには、胃や腸の内容物を除去し、きれいな状態にし、高画質な画像でしっかり観察することの大切さを日々感じております。
色素を病変部のみでなく全体に噴霧することで癌の発見率を上げることが出来ています。またNBI装置や高画質カメラの導入も発見率を上げえることに大きく貢献していると思います。
今や、癌の半数は治る時代。そしてまた、ずっと付き合っていく慢性的病気とも言われています。早期で見つけることが出来れば開腹手術を受けることなく内視鏡的に癌を切除できる時代です。

癌にならないための日常生活の工夫や努力に加えて、内視鏡検査を毎年受けることの大切さを痛感する毎日です。

■平田孝浩院長プロフィール■
大分上野丘高校から川崎医科大学へ進学。昭和62年に同大を卒業後、大分医科大学(現大分大学医学部)第二外科へ入局。国立長崎中央病院、大分中村病院、厚生連鶴見病院、宇佐胃腸病院外科医長、織部消化器科副院長などを経て、平成14年7月に大分市田尻、サンライフトマト東側に胃腸科・肛門科・内科・外科診療の「ひらた医院」を開院。
医学博士。日本外科学会専門医。日本消化器外科学会認定医。日本外科学会、日本消化器外科学会、日本大腸肛門病学会、日本消化器内視鏡学会、日本消化器病学会、日本胃癌学会に所属。

(2015年8月号掲載)

「身体に大事な甲状腺ホルモンのお話(2)NHK『ためしてガッテン』でも取り上げられた甲状腺ホルモンの異常!」 大分内分泌糖尿病内科クリニック 院長 但馬大介2015.7.4

脚の浮腫(むくみ)、冷え症、便秘や肥満の症状は、よくある症状ですね。
このような症状を体質とおもってあきらめていませんか?
実はこれらの症状は、甲状腺ホルモンが少ないことが原因になっている可能性があります。

特に浮腫(むくみ)にはある特徴があります。
その違いをみることで簡単に普通の浮腫と甲状腺ホルモン低下による浮腫とを見分けることができます。

今回はその見分け方を紹介します。
まず親指で脚を強く押してください。押す場所は、硬い骨のある脛(すね)です。そこを5~6秒間くらい親指で押しつけます。
次にその指を離して、押しつけたところを観察してください。
もし普通の浮腫であれば指の痕(圧痕)が残ります。しかし甲状腺ホルモン低下の浮腫では痕が残らないのです。これが普通の浮腫と甲状腺ホルモン低下による浮腫の違いです。
みなさんでも簡単に見分けることができますよ。私たち医師も実際の診察ではこの方法で見分けます。

では浮腫はどのようにしてできるのでしょうか?
普段、私たちが目にする浮腫は体液が溜まってできます。原因としては、塩分の摂りすぎや立ち仕事でできることが多いです。それ以外にも心臓のポンプ作用が低下した心不全や、腎臓の働きが低下した病気でなることもあります。水分が皮下組織に漏れでてしまい腫れた状態になる、それが『むくみ(浮腫)』です。

ところが甲状腺ホルモンが足りなくなると、そのようなことがなくても浮腫ができます。
原因は、ヒアルロン酸などのムコ多糖類です。これらが溜まってきて浮腫になってしまいます。これは脚だけではなく顔や手にもでます。それが喉の声帯に溜まると、声が嗄(か)れてきます。さらにそれが心臓に溜まり、心臓の働きを悪くすることもあります。
ひどくなった場合には命に関わることがありますので、特徴的な浮腫がある方は、かかりつけの内科の先生にご相談してみてください。甲状腺ホルモンが正常かどうかは血液検査でわかります。専門外来でなければ外注検査になりますので、多くの場合は翌日以降で結果がわかります。

もし甲状腺ホルモンが足りないことが分かれば、まずは原因を探します。
食品中のヨード(昆布に最も多く含まれる)が、甲状腺ホルモンの分泌を抑えることがわかっています。
正常では一時的に甲状腺ホルモンが低下しますがその後に回復します。
しかし慢性甲状腺炎などの素因を持っている方は、ヨードを多く含む食品を多く摂ることで甲状腺ホルモンが低下し続けます。昆布茶などで知らず知らずのうちにヨードを過剰に摂取していることがありますので、甲状腺の病気の素因がある方は注意が必要です。
詳しくはかかりつけの内科へご相談ください。
■但馬大介院長プロフィール■
平成4年大分医科大学を卒業後、同大第一内科に入局。平成7年大学院で研究開始。平成13年から15年まで米国オハイオ州シンシナティ大学で医学研究に従事、帰国後、小倉記念病院の糖尿病内科部長、大分市医師会立アルメイダ病院内分泌科部長を経て、平成24年2月、JR大分駅、上野の森口そばの大分市要町9番19号に「大分内分泌糖尿病内科クリニック」を新規開院した。
医学博士。大分大学医学部臨床教授。日本糖尿病学会糖尿病専門医。日本糖尿病協会糖尿病療養指導医。日本内科学会内科認定医。大分県糖尿病療養指導士認定委員会。大分県糖尿病臨床医会登録医。
(2015年7月号掲載)

「大気環境と肺の病気について」 日野医院 副院長 河野昌也2015.6.11

屋外活動でホコリを吸い込み、「痰が出て咳が止まらない」経験をされた方は多いと思います。
屋外大気中には多彩な浮遊物が漂い、最近では中国大陸の工業化と偏西風によるPM2.5の越境流入汚染が話題となっています。

PM2.5(PMは英名Particulate Matterの略名)とは排気ガス、工場煤煙、火山粉塵、土埃、化学反応した揮発性ガス粒子等からなる直径2.5マイクロメーター(1マイクロメーターは1ミリの1000分の1)以下の極小径浮遊物群の総称です。

スギ、ヒノキなど植物系花粉からなる直径30マイクロメーター程の大型浮遊物の場合、鼻腔に引っかかり、主に花粉症、アレルギー鼻炎発症の原因となりますが、PM2.5ではアスベストというさらに微小な浮遊粒子群と同様、大気中に長時間浮遊、肺の奥深くに沈着しますため、強い炎症を引き起こし、アレルギー性喘息、気管支炎、肺気腫、肺癌、動脈硬化発症に関係します。
ただし、大気中PM2.5濃度は気候、地域、生成物により随時変動するため、「いつ」「どこで」「どれくらい」吸引したかを証明する事は困難であり、長期的、国際的な大気中濃度測定による有害性の評価が必要です。

一方、屋内の大気環境でも、タバコ煙に多く含まれるPM2.5が換気条件によっては高濃度となり、問題となっています。
受動喫煙(二次喫煙)、さらにはタバコ吸い殻からの残留成分による三次喫煙の弊害を考慮しますと、分煙対策のみならず今後全面的な禁煙が望ましいものと思われます。

これから、梅雨の時期、室内生活が多くなり、空調機器を使う機会が多くなりますが、タバコ煙に加え、動物表皮、ハウスダスト、ダニ、カビ、揮発性有機溶剤などが、大気中に浮遊、吸引した場合でも、やはり上記の肺疾患発症に関係します。

以上、常に多彩な有害浮遊物を吸引する機会はありますので、それから遠ざかる工夫と、重篤な呼吸器症状を起こさないように、個人的対応(外出制限、うがい、マスク着用、室内掃除、禁煙)を行ってはいかがでしょうか。
■河野昌也副院長プロフィール■
大分市出身。大分上野丘高校、久留米大学医学部を卒業後、大分医科大学(現大分大学医学部)第三内科に入局。国立療養所西別府病院内科に勤務後、大分医科大学大学院での基礎的研究を基に、長門記念病院、鶴田病院、大分三愛メディカルセンター、織部病院などで、慢性呼吸器疾患、睡眠関連呼吸障害など、肺疾患の診療に携わる。平成26年から日野医院(大分市宮崎832-4)で副院長として勤務。
医学博士。日本結核病学会認定医。日本抗加齢医学会専門医。日本医師会認定産業医。介護支援専門員。日本呼吸器学会会員。
問い合わせ/電話097-568-5621
(2015年6月号掲載)

「腸内洗浄(コロンハイドロセラピー)~乱れた腸内環境をリセット~」 神矢内科胃腸クリニック 院長 神矢丈児2015.5.10

大腸はおよそ1.5m程度で一般的には便を溜めておく場所です。
そこには善玉菌や悪玉菌がバランスを保って共存しています。
しかし、大腸は食事、生活習慣、ストレス、抗生物質などの影響を受けると悪玉菌が増え、腸内環境が乱れます。乱れた腸内環境をリセットし、滞留した宿便を洗い流してお腹をすっきりクリーンにする『腸内洗浄』(コロンハイドロセラピー)についてお話しします。

Q 腸内洗浄はどのように行うのですか?
A 専用チューブを肛門に挿入して、約40分かけてお腹の中をろ過された温水で大腸洗浄します。薬品は一切使用しません。

Q 痛くないですか?
A 痛くはありません。挿入部にはスムーズに挿入できるようにジェルを塗ります。痔をお持ちの方や、緊張で肛門に力が入ってしまう方は挿入時のみ多少の違和感を感じる場合があります。セラピー中は水圧や水量を適量にコントロールしますのでご安心ください。

Q ちょっと恥ずかしいのですが…。
A セラピールームは個室になっていて、専用トイレも設置されています。また、洗浄装置は密閉構造になっているので臭いません。専用のディスポズボン・ガウンなどもご用意していますので衛生的です。心地よい香りやヒーリングミュージックでリラックスしてセラピーを受けることができます。

Q 洗浄前に食事はできますか?
A お取りいただけます。施術の2時間前までに済ませるようにしてください。

Q 洗浄前に気をつけることはありますか?
A 体調がすぐれない時や腸の調子が悪い時は避けてください。セラピー前には医師の問診がありますので、指導に従ってください。

Q セラピーを受けられないケースはありますか?

A 当日の問診で判断しますが、次に挙げる方は受けられないことがあります。
○施術当日生理(生理4日目以降は可能)の方
○そけい部ヘルニアの方
○重度の肝臓病の方
○1年以内に開腹手術を受けた方
○6か月以内に内視鏡手術を受けた方
○妊娠3か月以降の方
○施術当日の体温が37.5度以上の方
○血圧が160以上の方
○重度の内・外痔、切れ痔、脱肛の方
○腸内癒着の方
○消化器系に重度の憩室症等(出血性疾病含む)の重大な疾病をお持ちの方

Q 効果的なセラピー回数は?
A 大腸には大量のガスや、ひだに蓄積されて細かく石灰化した糞便が多く存在します。『腸内洗浄』によって大腸内を洗い流すことにより腸内環境を整えることができるのです。回数は患者さんの腸の状態によって変わりますが、頑固な便秘症の方などは自力で排泄できるように継続的に行うことをおすすめします。

Q 腸内洗浄の効果は?
A 汚れた腸内をきれいにすることによる様々な効果が報告されています。
○肌荒れ改善/美肌効果
○爽快感/リラクゼーション
○疲労回復(改善)
○腸内細菌叢のバランス改善(腸管免疫系の強化)
○腸内有害物質の除去
○便秘改善(もしくは自発的排便の補助)
○下痢改善
○腸内ガス排出促進
○ダイエット補助
○足などのむくみ改善
現在、女性の死亡原因の第1位は大腸がんです。
大腸内視鏡検査は、羞恥心や、前処理(大量の下剤)が大変であることから未だ普及していません。
この腸内洗浄によって、前処理の負担を軽減し大腸内視鏡検査を普及させ、大腸がんの早期発見、早期治療に役立てたいと思っています。
また、腸内の毒素を体外に排出することによって、美容はもちろん、アレルギー疾患、自己免疫疾患、生活習慣病の治療に効果が期待できます。

Q 治療費は?
A 腸内洗浄は保険外診療になります。当院では1回9800円です。また、お得な3回券(27000円)、5回券(4万円)もあります。カード払いもOKです。

■神矢丈児院長プロフィール■
大分雄城台高校、大分医科大学(現大分大学医学部)を卒業後、同大第二外科に入局。大分中村病院、別府厚生連鶴見病院、神奈川県立がんセンター、三愛病院(現大分三愛メディカルセンター)、湯布院日野病院副院長、織部病院院長、小深田消化器病院副院長などを経て、平成24年8月、賀来西1丁目4番1号(JR賀来駅北側)に「神矢内科胃腸クリニック」を新規開院。日本外科学会専門医。日本消化器外科学会認定医。日本大腸肛門病学会、日本消化器内視鏡学会に所属。
問い合わせ/電話097-549-7878
ホームページ http://www.kamiya-jcl.com/

※神矢院長と澤田幸男医師(兵庫県宝塚市、澤田肝臓・消化器内科クリニック院長)の共著「腸が寿命を決める」が4月17日、集英社新書から新発売されました。

人間には「免疫」という重要な機能が備わっていますが、その「免疫システム」の約八〇%は「腸」が担っています。
同書では「腸管免疫」のメカニズムを最新知見を基に説明。
腸の知られざる機能や糖尿病・がん・アレルギーなどの病気との関連性なども丁寧に解説しています。
224ページ。定価740円(税別)。

(2015年5月号掲載)

「人の縁」 深川内科クリニック 副院長 深川富美代2015.5.5

父の仕事関係で、私は小さい頃から転校を繰り返しました。二つの幼稚園、小学校三校、中学二校でした。
一学期が終わるころにいきなり「二学期からは別の学校よ」と言われ、夏休みの間に転校します。
次の学校に馴染むのに一生懸命で、ついつい文通も途絶えがちになり、以前住んでいた土地に行くこともなくまた違う土地へ転校し、二度とお友達に会うことはありませんでした。

自然に放っておくと、人と人との繋がりは切れるのだと学びました。
人の縁というものは努力しないと切れるものなのだという想いが染みついています。
ですから、大人になってから私は、人と喧嘩別れをしたことがありません。
お互いの距離が遠くなれば、自然と離れるものなので、わざわざお互いにイヤな想いをする必要があるのかな?と思うからです。

ところが、カウンセリング現場では、自ら人間関係を断ち切るケースがとにかく多いのです。
親や配偶者からのDV被害者は、身に危険が及びますので関係を断つことが必要な場合があります。
自分を守るための防衛手段です。
そういう状況ではないにも関わらず、精神状態が不安定になると、どうも宙ぶらりんの状態に我慢がならなくなるようで、自分から絶交したり、別離の引き金を引きます。
しばらく距離を置けばよいだけなのにすぐに白黒ハッキリさせようとして、カッとなった途端メールを送ってしまいます。
相手の言うこと為すことを悪く解釈してしまい、自分の感情をコントロールできず人を傷つけます。
長年悩みを聞いてくれた幼なじみに、「あなたは昔から、私が不幸な時は喜んでいる」と言って絶交されたケースもあります。

「思考が悪いほうへ暗いほうへ、と行く時期に、とにかく決断しないように。仕事も切らない
人間関係も切らない。今は何かをやめる決断をしないように」と頼み込みます。

「続けたくても切れてしまうのが人間関係」と思っていれば、わざわざ自分から断ち切る必要もないし、そのままにしておけば、何かの機会に出会っても気まずい思いをしなくて済みます。
断ち切ってしまった人間関係を修復するのは困難です。
人付き合いする気力が無くなるとか、気分の落ち込みがあるときほど、わずらわしい人間関係から逃れたいという衝動に駆られるようですが、「袖振り合うも他生の縁」と思って縁に感謝して続ける努力も必要です。

■深川富美代副院長プロフィール■
医療法人ストレスケア若草「深川内科クリニック」副院長。音楽療法士。医学博士。臨床心理士。米国セントナリ大学卒(パイプオルガン演奏専攻)。日本心身学会所属。日本音楽療法学会認定音楽療法士。大分県臨床心理士会会員。音楽療法に関する著書もある。近著は「幸せ美人になれる フェロモンイメージング」(マキノ出版)。
問い合わせ/電話097-532-8980
ホームページ http://www.h6.dion.ne.jp/~fukagawa/

(2015年5月号掲載)